Vol.2:レバノン料理「CADOMOUS」×槙大輔
シリーズ<世界の味×セブの友達>
第2回にしてかなりマニアックな国に飛んでしまいました
今回のインタビュイーは、東洋大学国際地域学部2年で現在セブのサウスウエスタン大学でソーシャルワークを学ぶため留学中の、槙大輔さん、通称“まきだい”です!
(注:通称って言っても、自分がそう呼んでるだけです(笑))
ではまず早くも恒例化した白黒写真をどうぞ
まきだいと知り合ったきっかけは説明すると長いのですが説明します。
自分が留学しているUP(フィリピン大学)の事務のおばちゃんから、去年の7月頃
「UPに留学したい学生が日本にいるらしいから、手続きの事とかメールでやりとりして教えてあげてくれない?」
とアドレスだけ渡され、こちらから連絡を取ってみたのが始まり。
実は東洋大学にはMrs.バレスカスという元々UPセブで教授をしていた先生が在籍していて、東洋の学生は彼女を経由してUPとも関わりがあったりするのです。
また、東洋大学は夏休みと春休みに希望する学生向けにセブでの語学研修プログラムを行っており、毎年多くの学生がセブにやってきています
そして、東洋大学はサウスウエスタン大学と1学期間の留学協定を結んでおり、まきだいの様に半年間の留学に来ている学生がちらほら居るようです。
まきだいが「セブに留学したい」という話が、いつの間に「UPに留学したい」という話に勝手に勘違いして解釈され、自分の元にもその話が…。という事の運びでした。
まぁおかげ様で同年代の日本人留学生と知り合う事ができたわけで、勘違い伝言ゲームにも感謝しております
周りの日本人は年上が多い中、まきだいは数少ない年下友達の一人で、ご飯食べいったりNGOのアクティビティに参加してもらったり先日のクリスマスパーティにも参加してもらったりという仲です!
そんなまきだいと食べる今回の料理はどの国にしようかな~と考え、インド料理にしようと一度心は決まったのです。
が、しかし!!インド料理屋に向かっててくてく歩いてる途中、なんとも気になる看板を発見…。
ん?レバニーズ?…レバノン レバノン料理って何
好奇心を刺激されまくり、もうこれは入るしかないと思い急遽場所を変更!
というわけで、今回紹介するのはレバノン料理「カドモス」です!
なんとこのレストラン、一昨日オープンしたばかりとのこと(笑)
メニュー表も完成しておらず、食べてる途中にようやく業者から届いたり…なかなか面白かった
オープン翌日に偶々見つけてとってもラッキーな気分です
コートジボワールで生まれ、幼い頃からロンドンで育ち、日本食レストランで働いていた頃に当時同僚だった今のフィリピン人の奥さんと出会い、現在セブに至るというインターナショナルな27歳レバノン人、ハッサンさん夫婦が営んでいるお店です。
お店の名前「カドモス」は、ハッサンのレバノンの故郷の名だそう。
日本食レストランで修行していた為、セブでも日本食をやろうか…と考えたそうですが、セブには既に日本食屋はたくさんあります。
そこで、母国レバノンの料理を出す店を開こうと思い立ち、セブでは初となるレバノン料理店を一昨日オープン。
ちなみにレバノン大使館はセブには無くマニラだけ。それもそのはず、彼がセブ在住の唯一のレバノン人らしいです(笑)ちょっと寂しいね
内装もおしゃれで、ナプキンなどのアイテムもセンスが良く、ウエイターも皆いい感じ。なによりシェフと奥さんの人柄がとても素敵で、一瞬で気に入ってしまいましたとにかく居心地が良い
2階にはカラオケ付きの部屋になっていて、ここで料理を食べながらパーティが出来るそうです!
しかもカラオケはタダ!イイネ!
ウエイターから歌いなよ歌いなよと執拗に言われましたが、今回は食べ、飲み、インタビューに徹してきました(笑)今度は歌おう
料理はオーダーを受けてからハッサンが作ってくれるので、注文してからしばらくはビールを飲みながら待ちます面白い事に、ビールの種類は軽めのサンミゲル“ライト”と強めの“レッドホース”の2種類。一番スタンダードな“ピルセン”が無いのが不思議でした。今度理由を聞いてみます!
さてさて、ご飯を待ってる間に本題であるインタビューも開始。
ひで「国際地域学部って漠然としてるイメージあるけど、どんなこと勉強すんの?」
まきだいは中学高校とテニス漬けの日々を送ってきた大学を決める段になっても、特に「これがやりたい!」と思える分野には巡り合っていなかった。
ただ、「英語」「海外」「国際」というキーワードにはなんとなく惹かれていた。
(自分もそうだったなぁ。と思いながら話を聞く)
受験を控えた高校3年生の秋、日比谷公園で開かれていた「グローバルフェスタ」に足を運んだ際に、JICAや国際機関、様々なNPO活動に関わっている大学生の姿を目にし、触発された。
「刺激が欲しい、海外に目を向けたい。」
「学ぶ可能性を自分で切り拓きたい」という思いを持って、あえて“守備範囲の広い”国際地域学部を選び、大学生活のスタートを切る。フィールドワークを重んじ現場主義の強い環境で、自らのフットワークで世界を学ぼう、と。
大学に入ると、まずNPOサークルに参加した。活動の中で実際にボランティアや災害支援を自ら経験し、色々な人と触れ合い、色々な地域を訪れ、世界を肌で感じていった。
まき「外にアンテナを張っていようとは意識していましたね。」
おっ!来ました!記念すべき人生初レバノン料理の登場です!
ペースト状のこの食べ物、名前は「Hommous」。小さなナンの様なパンに付けて食べます。
値段は200円。不思議な味ですが、ビールのおつまみにチョビチョビやってると、これだけで結構な時間いけそうです
ガーリックとオリーブオイルの香りが上品で、何だか体に良さそうな一品でした。
ひで「レバノン人こんなの食ってんだね。変な感じ。」
まき「そうですね~。」
この返し方がなんとも優しいまきだいです。
ひで「初めて海外でボランティア活動をしたのは、フィリピン?」
1年生の夏、まきだいは学校のプログラムであるセブでの語学研修に参加。その時に、活動の一環としてフィーディングプログラムを行うNGOの手伝いをした。
まき「覚えてるのは、とにかく子どもが元気で笑顔だってことですね。カメラを向けると、本当に無邪気で。疲れた時はとりあえずカメラを見せてました(笑)」
活動の詳細というより、子ども達の反応が心に残っている。当時はまだ、NGO活動そのものを客観的には俯瞰出来ていなかったという。
「国際貢献活動に参加できてる、なんとなく有意義な時間を過ごせてるって感覚はありました」
ツマミがうまくて安いこちらはスパイシーポテト。なんと60円。
塩が効いてて、ビールにはぴったりおかげでどんどん飲んでしまいます…(笑)
メインはこちら
ミックスグリル、700円!
3種の肉の串焼きグリルです。スパイスがいい具合に浸みてて、旨い。特にビーフは最高でした。
ライスは黄色く、ほんのりシナモンの香り。
見た目もきれいで、味もよし値段も悪くないです。
ひで「やばい自分絶対ここ常連になる。また来ようぜ」
まき「いいっすよ。」
この温かく軽やかな返しがやはりまきだいの魅力。彼が前に居ると、どんどん話を続けてしまう。
自分がインタビューしてる側なのにww
ひで「どう?学校は大変?フィリピンでソーシャルワークってどんな感じ?」
まき「学校はきついですね。課題も多いし、発表も多いし、あと自分の意見をバンバン求められる。日本とは違います。」
まさにそう。日本の大学生活とこっちとだと、スタイルが大分違う。
授業への準備にかかる時間は膨大で、授業中には「あなたはどう思う?」と発言機会も多い。
(そして先生が授業をさぼることも多いww)
まき「ソーシャルワークを勉強してる学生が本当にソーシャルワークに興味があるかって言われると、そうでも無い様な気がします。」
社会や家族、個人に潜在する問題をテクニックを使って解決し、人間としての基本的なニーズにアクセスできない人たちを後押しする。
そんなソーシャルワークの学部に居る周りの学生や先生は、例えばスラムの住民の問題にはさほど関心がない様に彼の眼には映る。
ひで「フィリピン人って、いい意味でも悪い意味でも『家族を大切にする』。自分の家族の範囲を超えた部分には目を向けない、無関心なところあるよね」
まきだいは毎週末、サプナイというNGOの活動に参加し、子ども達を対象に英語を使ったアクティビティを行っている。
「子ども達の自主性や知的好奇心を引き出すのが目標」
ただ楽しませるだけではなく、自分たち自身の力で何かをする力を身に付けてほしい。
ひで「これまで関わってきて、子ども達の成長に関して、手ごたえとか感じる?」
まき「例えばシャイだった子がアクティビティを通して人前で喋れるようになったり、パーティの司会や機械の操作を自分達でやっている姿を見ていると、子ども達が変わってきたという実感はあります。」
自分も、まさにそこだとおもう。
ただ知識を与えればいいのではない、ご飯を与えればいいのではない。
自分達の力で、自分達のコミュニティの中で、責任を見つけ、感じ、果たしていく事こそ、今子ども達に学んでほしい。この点に関しては次項の記事で詳しく語ります。
まきだいは酔っ払いひでぶーと違いあんまりお酒を飲まないので、この辺でソフトドリンクにシフト。
「ローズウォーター」なるものを頼んでみました。っていうか自分が興味あったので半ば強制的に頼ませてしまいましたごめん(笑)
ドリンクがウソみたいに安いです、ここ。
コーラなどのソフトドリンクは基本30円。コーヒーも30~40円程度。
ジュースやビールは100円前後でしたが、にしても安い。大丈夫?この価格設定…。
「ローズウォーター」そのまま飲むと、薔薇の匂いのするなんだか不思議な飲み物だなぁ、って感じなんですが、
威力を発揮するのはリキュールを割った時
オープン直後でまだドリンクメニュー開発中らしく、なんか色々試作品を飲ませてくれたのですが、
ラムのローズウォーター割り、ウォッカのローズウォーター割り、ジンのローズウォーター割。
結構な量リキュール入ってるはずなのに、全然アルコールを感じないのです
ただリキュールのコクは確かに残っている。
さてはレバノンの男たち、これで女を…と勝手に妄想して納得しました
本当にぐいぐい行けちゃって、自分も気付いたら泥酔してました。おそろしや。皆さん薔薇水にはくれぐれもご注意を。
ひで「セブ来てもう4ヶ月目くらいだけど、どう?何か学んだこととか、変わったと思う事とか」
まき「やっぱり、視野が広がりました。」
日本にいたら垣間見ることのない世界を目にする。一つを知ると、さらに新しい事を知りたくなる。
「あれもやりたい。」「これもやりたい。」
「これも知らなきゃ」と、世界には知るべきことがまだまだあることを発見した。
確かに刺激的な体験で、それでいて、「世界って広すぎる」と途方に暮れてしまう事もある。
「必ずしもすべてを知ることは良い事なのか?」
このフレーズが、最近彼の中に芽生えたクエスチョンだという。
「こっちでは、すべての出来事がCHALLENGINGです。おカネをせびまれたり、食事も、言葉も違う。だから、“常にちょっと背伸びしてないと乗り越えられない”んです。」
ちょっとやそこらの事では動じなくなった。
いい意味で「しょうがない」。「諦め力」が身についた。
そのことがむしろ今の彼に、行動力と積極性を与えている。
「日本で学生してたら出会ってなかったような面白い日本人とも出会えて、その人からまた新しい人へと繋がっていく感じも楽しいです」
最後のおつまみは「Roasted Aubergine」ナスの料理です。
これは、シェフのハッサンが子どもの頃、いつもお母さんが作ってくれたという思い出の味らしい。
お味はというと…レモンが効いてて酸っぱい日本人的には正直微妙かもwwごめんせっかくの母の味にこんなこと言って(笑)
値段は80円!
4月東洋大学に戻ったら、途上国の初等教育に焦点を当てて勉強していきたいというまきだい。
「学びたいことがどんどん出てきて。」
初等段階での教育が一国の社会の形成にどう関わっているのかに今は興味がある。
まきだいが口にした言葉の中で一番印象的だったのは、
CHALLENGING(チャレンジング)。
日本ではあまり使わない言葉だと思うけど、自分はこの言葉が大好きです。
「努力しないと乗り越えられない」けど「チャレンジする価値のある」何かに使う、ポジティブな形容詞。
子ども達にピアニカを教える時にも、「DIFFICULT(難しい)」という表現を使う事を極力避け、なにか次のステップに進むときにはCHALLENGINGと言っています。
学生時代に日本を飛び出てみるという経験は、ものの見方を大きく変えてくれる。
きっと、世界に溢れている何十億という生き方のより多くに触れることができるから。
生き方って、ほんとに無限のパターンがあって、それは自分で作るもんなんだよな。
きっとまきだいにとって世界はCHALLANGINGな事で溢れてるんだろうな、とわくわくしながら楽しくお喋り出来た4時間でした。まきだい、今回はどうもありがとう!
スタッフと記念撮影。自分が幽霊現象
お腹いっぱい食べて酔い潰れるまで飲んで、2人で2500円くらいでした。GOOD!
前もって伝えてたら今度は日本食準備しといてくれるって!なんて良いやつなんだハッサン!
この店には、やはりかなりの高頻度で通う事になりそうです(笑)
ほらね。セブに来るだけで、いろんな世界の人と巡り合えますよ
レバノンはキリスト教徒とイスラム教徒が半々で、大統領はキリスト教徒、首相はイスラム教徒とか決まってるらしい。
またレバノン情報もたくさん聞いていきたいと思います!世界広すぎるぜ!!
もう企画趣旨変更して[レバノンの味×セブの友達]で毎回この店で飲み喋ることにしようかな(爆)