セブキッズとの道!

フィリピン・セブ島を拠点に、スポーツ・音楽教育を通したライフスキル育成に取り組むNPO法人セブンスピリット。

クラシック音楽家は…マイケルジャクソン?

皆さん、「クラシック音楽の作曲家」と言われると、誰を想像しますか? ベートーベン? モーツァルト? バッハ? ラフマニノフ? チャイコフスキー? ショパン? まぁ大体このラインですよね。 少なくとも、上に挙げた内の数人の名前はピンと来るんではないでしょうか。 ところが。 best shot pianica.jpg この子たちに同じ質問をしても、返ってくる答えは全く違います。 前回のセカンドチャンス(孤児院)音楽レッスンにて。 「知ってるクラシックの作曲家の名前を言ってみてー。ベートーベンとか、シューベルトとか!」 しばらく考えて、子ども達は all raising hands.jpg ビートルズ!」 「ジョンレノン!」 「マイケルジャクソン!」 おっと!!!!彼らにとって“クラシック”音楽は、単に“ちょっと古い”音楽なのですね!! ここセブで生活していると、「クラシック」とか、「オーケストラ」とか、その種の音楽を耳にすることなんてほとんどありません。 クラシックファンのひでぶーにはちと辛い環境なのですが…(笑) 道ではいろんな店からアメリカンポップやタガログ(フィリピン語)の曲が爆音で流れどんっ(衝撃) レストランではライブバンドが毎晩同じ曲のローテーションで洋楽を演奏し台風 ディスコやバーでも然り。レディ・ガガの嵐でございます雷 確かに、この国にはなんだかクラシックよりもそっちの方が似合う気もしますが、 クラシックも素晴らしいのだよ!!! よくよく考えてみると、セブで生活しているとギターを除くと楽器を目にすることもあまりありません。 たまにライブバンドにサックスやキーボードが含まれていることはあっても、 ピアノ、バイオリン、フルート、トランペット?まず見ません。 まずそういう楽器を扱う楽器店も見たことすらありません。 そこで、今回のレッスンでは自分が日本から持参したクラリネットを子ども達に触らせてみて、 touching clarinet.jpg どんな音が出るのか実際に1曲披露してみました。 clarinet.jpg 実はひでぶクラリネット吹きなのだ。 フィリピンに生まれ、フィリピン人として生活していると、こんな機会すら滅多に無いんですよね。 日本だと吹奏楽やオーケストラが浸透していて、コンサートも楽器店も当たり前のようにありますが、 こっちの人にとっては「雲の上の存在曇りと言えるぐらい、高価で手も出ず、自分たちとは別の世界の文化、といった受け止め方をしているように思います。 だから、セカンドチャンスの子ども達に限らず普通の人にふと「ベートーベン」なんていっても、 きょとんとして何の事か全く通じません。 テレビで、おじさんがトランペットを演奏しているシーンで、バイオリンの音が流れてきたりします爆弾 楽器教室もいくつかあるようですが、それは完全に「お金持ちの御子息の暇つぶし犬」といった感じ。 発表会を観に行ったことがありますが、上手に演奏する、というよりはステージパフォーマンスの自己満足…。 マニラには国立オーケストラがあるようで、今月初めセブ州の建立記念日のセレモニーにも招待されてBGMを演奏していましたが、お世辞にも上手とは言えず。 こんなところにも、文化の差を感じるわけであります。 目に見えない、「文化へのアクセスに対する経済的事情による差別」があるように感じるんです。自分は。 もちろん、「洋楽とタガログ曲、ちょっとした伝統音楽がフィリピンの文化」と言ってしまえば話はそれで終わりですが… もしフィリピンがもっと経済的に豊かで、労働以外の時間にもっと時間を割け、余暇の過ごし方にも「質」を求めることができれば… 自然とクラシックは発展していたんじゃないかと思うのです。 そんな世界を少しでも覗いて、合奏の楽しさを体で覚えて、皆で一つの音楽を作る楽しさを学んでくれたらなぁ、なんて甘い考えで今この孤児院で音楽を教えているわけでありますが目 ようやくちょっとずつ、形になり始めてきたかなぁ…という状況であります。 というわけで、近況報告!!! Filipino kids play Kaeru no Uta with pianicas 一時帰国前の授業で、皆でカエルの歌の合奏にチャレンジし、撮影したビデオをYouTubeにあげてみましたので、ひでぶーでもご紹介。 なんだ、全然じゃん…モバQとがっかりさせてしまうかも知れません。 が。 楽器というものに触ったことすらなかった子ども達が、 「リズムに合わせる」「人と違うパートを吹く」 事の意味を少しずつ理解し始めてくれていることが、自分にはとても嬉しかったりするのです。 これから、子ども達も授業に退屈することがないように、難しい練習もあるかも知れませんが、 最後に立派な合奏を全員でできた日に感じる喜びを目指して、一生懸命教えていきたいと思います。 この「フィリピンで音楽のレッスン」 実は、世界の遠いところにある、とある国で既に行われているプロジェクトに触発された部分があります。 3分しかないので、このビデオ、最後まで観てみてください。 Ginastera: Estancia- Danza final (Malambo) 自分は、こんなにも楽しくて心が躍って、なのになぜか涙が出るほど感動する音楽に、この演奏を聴くまで出会った事がありませんでした。 実はこのオーケストラ、ベネズエラシモン・ボリバル・オーケストラ」といいます。 南米にあるベネズエラは、世界一の犯罪大国、経済状況も劣悪で、多くの国民がスラム暮らしを余儀なくされています。 そんな国で、ある時こんなプロジェクトが発足しました。 「100%ベネズエラメイドのプロオーケストラを作ろう!」 現在、“エル・システマ”として知られる国家を挙げた大プロジェクトとなり、世界から注目を浴びる音楽教育プロジェクトが、それなんです。 このオーケストラのメンバー、信じられませんがほとんどがスラムの出身なんです。 学校が終わった後に音楽教室を開催し、無料で楽器を貸し出し、もちろん無料で授業を行う。 治安の悪いスラム地帯では外で思いっきり遊べなかった子ども達は放課後に新しいやりがいを見つけ、 子ども達を安心して教室に預けられる親は仕事を増やす事が出来る。 飽くまで目標は「プロの奏者の輩出」なので練習に妥協はなく、 そのなかで協調性や時間の厳守、良い意味での競争意識すらも学んでいく。 クラシック音楽という文化を社会に生み出すことで、新たな雇用と産業を開拓する。 なによりも、その素晴らしい文化に触れる機会を国民に与えられる。 このプロジェクトの存在を知った時、自分は愕然としました。 すごくショッキングな出来事でした。18歳の夏でした。 エルシステマで音楽を学んだ子ども達、これまでに約30万人だそうです。 本当に信じられませんが、犯罪率が0%なんだそうです。 ここフィリピンにこの世界の経験を活かす事は出来ないか… もちろん大成功しているエルシステマとは比べ物になりませんが、21歳の大学生の自分が出来る範囲でやれることを、と思い始めたのがセカンドチャンスのピアニカレッスンだったりする訳です。 group performance.jpg 日本語の中でも特に素晴らしい言葉に、「音楽」という言葉があります。 英語では、単なるMUSIC。 それが、日本語になるとなぜか ENJOY SOUNDS になっちゃうのです。 理想しか見ていないのかもしれませんが、まぁ理想だけを見て今はやっています。 いつか理想がちょっと現実的になることを願い、画策しつつ。 1週間は早いもので、また土曜日がやってこようとしています。 楽しみであり、レッスンプランに頭を悩ます土曜日。でも頑張ります!そして楽しみます犬犬 そういえば、ブログで紹介した影響でしょうか、 何人かの方から「今週末(土曜日)の囚人ダンス、一緒に行きたい」とお声をかけていただいています。 セカンドチャンスの真横ですので、自分はレッスン終わってから歩いて直行しようかな…と思ってましたが、こうなってくるとそうもいかないかな。 とにかく、他にも「観に行きたい!」という方いらっしゃいましたらコメントでもメールでも頂ければ喜んで一緒に行かせていただきます(笑)セカンドチャンスに一緒に来ていただくのも歓迎ですよ晴れ それではまた明日! 囚人ダンス詳細については以下の過去記事をご覧ください↓ ○刑務所で大興奮!~世界が注目するセブの囚人ダンスCPDRCついに突撃!(http://henjinpooh.seesaa.net/article/158071729.html) ○世界一有名な囚人?(http://henjinpooh.seesaa.net/article/151501006.html) ついでにセカンドチャンスでのピアニカレッスン奮闘日誌は中大サークルPocoPocoホームページに連載中↓ 日比交流サークルPocoPoco(http://pocopoco.hanagasumi.net/