セブキッズとの道!

フィリピン・セブ島を拠点に、スポーツ・音楽教育を通したライフスキル育成に取り組むNPO法人セブンスピリット。

エルシステマとナショナリズム。

こんばんは。ヒデ(@Akihide7Noguchi)です。

今日は中央大学拓殖大学、八王子の自然豊かな2校で学生さんにお話してきました。

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(写真は中大の誇る美味しい学食のカレーです…笑)

中大の授業では、以前セブンスピリットのスタディツアーに参加してくださった学生さんも受講しており、偶然の再開に感激!着実にSSの輪、広がっております。

 

大学などでの講演ではいつも、3本の柱をベースにお話をしています。

①フィリピンやセブってどんなところ?貧しい子ども達の暮らしとは?

②アンサンブル音楽で子どもはどう育つ?エル・システマって何?

③みなさんもセブンスピリットの応援団になってね!

 

時間の制約や、お話する対象の学生さんの学部・専攻などによって細かい内容は毎回異なるのですが、今日授業をさせていただいたのは拓殖大学の国際学部の皆さん。

そこで、②の部分。少し意識して、「エルシステマ」と「国際協力」と「ナショナリズム」について、僕の思うところを解説しました。

 

西洋文化と植民地支配の記憶

ベネズエラやフィリピンのように、かつて欧米列強による植民地支配を受けていた国々は、今でも“国レベルで”ヨーロッパ・アメリカの文化をかつての帝国主義と結びつけ、アレルギー反応を見せる部分があります。オーケストラという西洋音楽は、まさにこの欧米文化に当てはまり、なかなか積極的に国として振興に取り組むことはありません。

また、いわゆる「開発援助」は「新植民地主義」を助長しているという批判もあります。新興国の発展に先進国が「国際協力」という名のもとで貸しを作り、主従関係を再構築してしまっているという考えです。

 

ベネズエラは“支配”を超えた

ところがアンチ・アメリカ的なパフォーマンスで知られたチャベス大統領の率いるベネズエラでは、子どもたちの生活を改善するツールに、このオーケストラが用いられました。これは「オーケストラ」というコミュニティ体型が、子どもの社会性を育む環境として極めて理想的だという事実を冷静かつ情熱的に見極めたからこその結果であるのだと思います。

この際、ベネズエラは(細かな部分で欧米の音楽資源や日本のシステムが活用されているものの)オーケストラ教育のシステムを、ベネズエラ人自身の手で1から創り上げてきました。彼らもそのことに大きなプライドを感じています。

数十年前には、まさか南米のスラムから世界を牽引する音楽家が数多く輩出されるとは誰も思わなかったはず。それが今では世界を熱狂させるブームを引き起こしているんです。

欧米発祥の文化を単に真似て取り入れるのではなく、自分たちのニーズに合致した形態へと自ら昇華させて、今や欧米のクラシック愛好家たちをギャフンと言わせている。なんとも粋じゃないですか。

 

僕たち外国人がフィリピンで子どもの教育をするということ

さて、そんなエル・システマを見本に、外国人=日本人である僕たちが、現地人=フィリピン人に対して、ドレミの西洋音楽を通して子どもの成長支援をしようとしている。

必ず子ども達の豊かな成長につながると信じながらも、外国人が主導してプロジェクトを始めることが正しいことなのかどうか、正直、心のどこかで引っかかっていました。

 

10月10日、東京芸術劇場でひらかれたエル・システマフェスティバル。この場で、僕は運良くエル・システマ創設メンバーの一人であるディポロさんにこの疑問をぶつける機会を得ました。そして

「万人に平等であるべき音楽を教えるのが、何人であろうと関係ない。教えられる人が、学びたい人に教えられる環境があれば、それでいいんだ。」

こんな趣旨の言葉を返してもらうことができました。

 

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今、日本には音楽に親しい人が沢山います。フィリピン・アジアには、音楽教育のチャンスを得れば大きく成長していけるはずの子ども達が沢山います。

この2者をつなげていくのがセブンスピリットの役割だと、改めて実感した瞬間でした。

 

いずれ今僕たちの教えている子ども達が先生となり、第二世代、第三世代をフィリピン人自身の力で育てていけるモデルを、その基礎をしっかりと築き上げるために。

今は、経験のある僕たちが第一世代にとことん向き合い、リソースを整え、一緒に音楽の楽しさを分かち合うことが何よりも大切だと信じています。

 

 【参加者募集

フィリピンの子どもや家族に音楽の贈り物。

クリスマスワークショップの参加者を大募集中

今年の冬休みは、南国セブでセブンスピリットアツく過ごしましょう!

詳細はこちらから。

http://seven-spirit.or.jp/xmas2013